【マメ知識】ゴルフの起源と木イチゴ

2018/4/5

桜が咲き、マスターズがはじまると、この国でも春ゴルフが始まります。次々に芽吹いていく草花を愛でるように春ゴルフができることは、四季が明確にあるエリアでゴルフができるゴルファーの特権です。 春は始まりの季節です。僕は毎年春になると、ゴルフが始まった遥か昔の瞬間を想うのです。



◆生まれより育ちが大切!?


ゴルフがどこで、どんなふうに生まれたのか、という説は、色々あって、確定はしていません。

例えば、約80年前には、日本でゴルフが発祥したと名乗りを挙げたこともあったのです。この背景には、戦時体制が強まっていく中で、敵国であるイギリス生まれのゲームをするなんてけしからん、という意見が押し寄せたことへの対抗策だったようです。日本で生まれたゲームだから、禁止にはしないで欲しいという先人ゴルファーたちの必死の願いが伝わります。

そして、アメリカにも発祥説があります。現在でも、ネイティブアメリカンの先住民に『昔から伝わるゲーム』(名称はわからなくなっている)として継承されているクラブに似た棒を使って丸いボールを打つ競技は、1712年に出発して、チリやペルーを探検し、1714年に帰国したフランス人のフレジェが書いた見聞録に『シュッカ(Succa)』という図解入りで紹介されている競技と同じものではないか、と考えられています。(参考・ゴルフのルーツを探る 井手登志夫著 中央公論事業出版)この競技と同じようなものが、南米のテオティワカンの遺跡の壁画にも描かれており、3~7世紀頃には広い範囲で行われていたようです。
フレジェは見聞録でページを割いて、このゴルフに似ているゲームを紹介していますが、残念ながら、その後、フランスに持ち込んで競技を行ったような史実はありませんので、発祥説としては参考程度という扱いになっています。



◆イチゴから生まれたゴルフボール

さて、この探検で、フレジェがフランスに持ち込んで、ヨーロッパ中に広がっていったものが『イチゴ』なのです。ゴルフ史において、イチゴといえば…… ボールにディンプルができて、驚異的に飛ぶようになっていく過程を思い浮かべられるとゴルフの歴史好きとして合格だといえるかもしれません。

現在のディンプルは凹みですが、初期のゴルフボールはツルツルで、偶然の発見によって小さな突起が一杯についたものになっていきました。ツブツブがついたゴムでできたボールは、その当時、形状が似ていることから「木イチゴ(ブランプル)」と呼ばれていたのです。

無理矢理に結びつけていると思うかもしれませんが、ゴルフの起源のロマンと結びつけて考えれば、イチゴ繋がりで話が一周したように思えます。ゴルフの神様のシナリオはお見事です。

僕が通っているゴルフコースは、春になるとホール間の足元や道端に、たくさんの木イチゴがなります。小さな赤い実を発見するたびに、太平洋を隔てて大昔に行われていたゴルフに似たゲームを思いだすのです。 春ゴルフの楽しみ方はゴルファーの数だけあります。ときには、ゴルフの歴史を考えながらイチゴを楽しむのも春ゴルフの内なのです。



篠原 嗣典

中1でコースデビュー、以来27歳まで競技ゴルフ一筋。
2000年メルマガGolfPlanet創刊。2012年GolfPlanetが電子書籍に。小説家としても活躍。
知識を駆使して、ゴルフの楽しさを紹介します。

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